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10月9日(火)

ネットにおけるニュースのあり方

ネット事業では3社が数億円ずつ出資。主要記事と社説の読み比べやネットの様々な技術を使ったニュース発信の新しい仕掛けを計画している。

 社説比較くんの存在意義が凄い勢いで無くなった今日この頃、皆様いかがお過ごしでしょうか。…いやまぁ 既に稼動しているとか、毎日や産経も対象にしているなど利点も無くはないですが、公式の前には非公式は輝きを失うものです。

 

 ところで、上記のとおり朝日・読売・日経が提携し、MSNが提携先を毎日から産経に乗り換えた関係で 毎日・産経もリニューアル…と、全国紙全てがネット上において変革を進めています。

 しかし、私には正直いまだ全ての新聞社が、ネット上でまで「新聞」という形に囚われているように思えます。ネット上においては、もっと相応しいニュースのあり方があるのではないか、と。

 

 例えば、以下の記事。

 2年も前の出来事ですから、多くの日本人は そんな地震があった事すら忘れていたことでしょう。当然、「その地震でどれほどの被害があったか」などの詳細についてはまったく記憶に無い筈です。

 「新聞」においては、せいぜい その地震について軽く説明するくらいの事しかできないでしょう。紙面スペースなどの関係で 詳細な情報を載せるのは難しいものがあります。しかし、ネットでならば「当時の関連記事にリンクを張る」事で、簡単に詳細な情報を読者に提示する事が可能です。

 そして「関連記事」としてリンクされた古い記事の方でも、逆に新しい記事へのリンクを張り返してやります。これによって、興味を持った記事をアンテナ等に登録することで、わざわざ日々最新記事をチェックしなくとも、興味を持った記事の続報を読むことができるようになります。(RSSとか吐いてくれるとなおベネ。)

 現在でも「関連記事」を載せているニュースサイトはありますが、重大な事件に限っていたり、最近の記事しか「関連記事」に挙がらなかったり、「新→古」方向のリンクしか無いものばかりで、理想を満たしているところは(少なくとも全国紙五紙中には)ありませんでした。

 強いて言えば、現在でも Google ニュースは「Google アラート」を利用することで、(上で書いたのとは仕組みが違いますが)「わざわざ日々最新記事をチェックしなくとも、興味を持った記事の続報を読む」事はできます。しかし、こうした機能は Google ニュースのように記事を利用しているだけの側ではなく、新聞社のように記事を作成している側で提供した方が良いと思います。なにしろ、新聞社側にも利点があるのですから。

 上記の仕組みを持つニュースサイトにおいて、利用者は 興味を持った、つまり続報を読みたい記事を日々(アンテナ等で)チェックするのですから、多くの人がチェックしている記事は、多くの人が続報を読みたい記事なのです。

 新聞社も所詮営利事業ですから、沢山のニュースの中から 多くの人の読みたがっているものを取捨選択して載せたいと考えている筈です。今までは投書等を行うような積極的な人の声しか届きませんでしたが、無言の読者の声を聞けるようになるのです。

 何も技術的にそんな難しい事ではないと思うんですが、どうしてこういう事をやってくれるところが無いんでしょうか。

ジョジョの奇妙な 801

 ジョジョキャラによる801はここには無いので、それを期待した人はとっとと帰って下さい。

 

 さて、誰もが「あの絵柄では無理だろう」と思うような漫画(例:福本漫画)ですら余裕でやおい化し、登場人物が女ばかり動物ばかりの物語であっても「男性化」「擬人化」という逆転ホームランでやおい化し、そしてたとえ「物語」すら存在しなくても、例えば身近にある食器だの文房具だのをやおい化してしまう方々が存在する事は、皆様もよく知るところかと思います。以下、参考リンク。

 このように凄まじいまでの包容力の高さ故か、「やおい」はしばしば全く理解できない存在として扱われています。…しかし、はたしてそれは正しい理解なのでしょうか?やおいと並ぶ包容力を持つ存在は無いのでしょうか?

 

 「やおい化」と並べて挙げられる存在に「萌えキャラ化」がありますが、正直なところ「萌えキャラ化」は「やおい化」ほどの包容力を持ってはいないように思えます。例えば上のリンク先に「波平の毛でやおい」がありますが、はたして波平の毛を萌えキャラ化できるでしょうか?…きっとできません。仮に無理に行ったならば、恐らく原型から離れすぎたものになる事でしょう。それはもう「萌えキャラ化」の枠を超えてしまっています。

 やはり、やおい程の包容力を持つものは無いのか?…いや、あるのです。タイトルからもうお解かりでしょう、そう、「ジョジョパロ化」です。

 適当に何か(=「○○」とする。)を思い浮かべてください。「ジョジョの奇妙な○○」「○○の奇妙な冒険」というネタ絵 / 2chスレッドを大抵見た事がある筈です。仮に見た事が無かったとしても、その「ジョジョの奇妙な○○」「○○の奇妙な冒険」という言葉を思い浮かべた瞬間、脳内に荒木絵化された○○が浮かび上がり、思わずネタの一つや二つ思いつく筈です。

 例えば上で挙げた「波平の毛」でジョジョネタ…と考えた瞬間に、「き…切れた わしの頭の上で なにかが切れた… 決定的な なにかが…」というネタが早速思いつきました。これほどまでにッ!あらゆる物に合う漫画はなかったなァ…本当によくなじむッ!

 …そんなわけで「やおい」を理解できないと思った時は、とりあえず「これはジョジョみたいなものだ」と思うようにすればきっとなんとかなります。何がどうなんとかなるのか書いててよく解りませんが、とにかくなんとかなります。たぶん。

10月19日(金)

ジョジョパロ蒐集

 前回『適当に何か(=「○○」とする。)を思い浮かべてください。「ジョジョの奇妙な○○」「○○の奇妙な冒険」というネタ絵 / 2chスレッドを大抵見た事がある筈です。』と書きましたが、せっかくだから そういうものを集めてみました。

 このために書いたスクリプト。要は「の奇妙な」などを含むページを検索エンジンから取得してきて、それがさらにジョジョネタらしき特徴を持っていればリストに加える、というだけ。非常にテキトーなので 間違っても参考にはしない事。誰か改良して下さい。

 なお、絵によるジョジョパロ(自分のところから例を挙げれば、「テニスの奇妙な王子様」みたいなの。)のページは殆ど取得できていませんし、取得できるようにする方法も思い付きません。(関係無いページが大量に混じっていいのなら取得できましょうが。)なので、いっそ逆に2chスレッド/2chまとめブログに特化させてしまった方が良かったかもしれません。2chで「○○の奇妙な□□」なんて名前のスレッドは、九割九分ジョジョネタです。(たぶん)

10月23日(火)

恋の数学必勝法

 実に恥ずかしいタイトルですが、中身は意外にも真面目な内容だったりする。

 タイトルに反して勉強になる内容が殆ど無い上 下ネタが多いスレですが、この中に気になるものがありました。

KさんとMさんが、二人とも数学者のH君のことを好きになってしまった。
2人はH君に告白した。

Kさん「私はMさんの2倍、あなたのことを愛しています」
Mさん「私はKさんの10倍もあなたのことが好きです!」

すると、H君はため息をついて、悲しそうに言った。
H君「・・・それじゃあ、二人とも、僕を少しも愛していないことになる」

 似たような話が多胡輝「頭の体操」にもあったような。手元に無いので確認できませんけども。

 さて、これは単なるジョークではなく、「恋のライバルに打ち勝つならば、好きになった人が興味を持つものにライバル以上に詳しくならなければならない」という寓話ではないか――と無駄に深読みして、ライバルがいる際に 数学者を数学的に口説く最適戦略を考えてみたいと思います。

 その前に、ルールをちゃんと定義しておく必要があるでしょう。

  • 自分の愛の度合いは、絶対的な値(100とか1000とか)か、或いは他者との相対的な値(相手の10倍とか、相手+10とか)で主張し、直接他者の愛の度合いを絶対的な値で主張する事はできない。
  • また、自分の愛の度合いは「絶対的な値」か「相対的な値」かのどちらか片方でのみ主張できる。
    • 両方主張できると、「私の愛は100で、Mさんより10多い」などと、結果的に他者の愛の度合いを絶対的な値で主張できる。
  • 一度出た「愛の度合いの主張」は、自分の主張にしろ他者の主張にしろ、覆すことはできない。
    • 『K「私は100愛している」、M「私は1000だ」、K「やっぱり私は10000」』とか、『K「私はMさんの2倍愛している」、M「そんなのは嘘で、私の方が10倍愛している」』とか。
  • 既に出ている主張に矛盾する主張はできない。

 さて、後攻となったMさんの立場に立って考えてみましょう。Kさんの「私はMさんの2倍、あなたのことを愛しています」という主張に対しては、一見何を言っても駄目なように思えます。どれだけ大きい絶対的な値を挙げてもKさんはその2倍愛している事になりますし、上のように「Kさんの10倍愛している」などと言ってしまうと二人とも0しか愛していない事になってしまいます。Kさんに勝てる主張があるとすれば、例えば「-100愛している」などと負の数を主張する事ですが、それはつまり「私はHさんを100嫌っている」という主張であって、勝負には勝っても恋に敗れてしまいます。

 …が、それは中学レベルの数学の話。H君は数学者です。もっと高度な数学を駆使した主張だって許される筈です。

 Mさんの行うべき主張は、例えばこのようなものが考えられます。

  • 「私は剰余類環 Z10 において、9 愛しています。」

 『剰余類環(「剰余環」「商環」とも)Zn』(nは自然数)とは、簡単に言えば以下のようなものです。

  • 0 〜 n-1 の整数からなる。
  • 剰余類環における加法乗法は、次のように定義される。(右辺における加算乗算記号は、通常の整数環における加算乗算を示す。)
    • a + b = 「a + b」を n で割った余り。
    • a × b = 「a × b」を n で割った余り。

 つまり Z10における 9 の 2倍は、 9×2 = 18 を 10で割った余り、つまり 8 です。一見勝ち目の無いKさんの主張を打ち破り、より大きな愛を示す事ができました。

 普通の数の世界では、数は無限にあるので どれだけ大きな数 N を挙げても N+1 > N であるため Nより大きな数を示す事ができますが、剰余類環のような有限の世界であれば、それより大きな値の存在しない「最大」の値が存在するのです。

 このように、相手が「この人のX倍」「この人+X」などと相対的な主張をした場合は、基本的にこの方法で打ち破れるでしょう。(「X」が整数でない場合は困るかもしれません。誰か数学に詳しい人考えて、と丸投げ。)そして、相手が「一万」「一億」などと単純に絶対的な値を出してきた場合は、こちらも単純にそれを超える値なり、或いは「その倍」などと相対的に攻めれば楽勝です。…では、相手が「剰余類環 Z10 における 9」と、有限世界の最大値で攻めてきたら?…その時は簡単、「10」と返してやればいいのです。こっちまで有限世界に付き合う義理はありません。

 つまり結論としては、とりあえず先攻を相手に取らせるのが最善手であると言えます。上述の通り大抵の主張には勝つ手があるでしょうし、仮に勝つ手が思いつかない主張があったとしても、少なくとも引き分けに持ち込む手は必ずあります。今後ライバルと数学者を奪い合う機会のある方は、ぜひ覚えておきましょう。

 …ただ一つ言っておきます。一般論ではありませんが上のケースの場合、Mさんが「私は剰余類環 Z10 において、9 愛しています。」と主張してKさんの主張を打ち破ったとしても、きっとH君は「つまり君の愛は、1 足しただけで 0 になってしまう不安定なものなのだね。」などと難癖をつけ、Mさんの愛を受け入れてはくれないでしょう。なぜならH君は、KさんもMさんも これっぽっちも愛してはいないと思われるからです。

 Kさんが「Mさんの 2倍」、Mさんが「Kさんの 10倍」愛していると主張した時、得られる解は「K=M=0」一つではありません。例えば例の剰余類環を考える場合です。剰余類環 Z19においては、「K=2,M=1」(M×2 = 2 = K,K×10 = 20 = 1 = M)などの解があります。

 しかし、H君は「K=M=0」という解を選んだ。よく自己啓発本とかにある内容ですが、他者とは自分の鏡なのです。数学者であり剰余類環などの事を当然知っているH君がKさんMさんの愛を「0」だと単純解釈したのは、それはH君自身のKさんMさんへの愛が「0」であったからに他ならないのです。無い愛は作れない。パウル・メビウスは「数学は愛の衝動を妨げない」と言いましたが、しかし数学が愛の衝動を作り出す事も無いのです。

 

 数学は専門外なのでツッコミ大歓迎。